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弁護士・公認会計士 洪 勝吉
〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西10丁目4 南大通ビル2F
(札幌市営地下鉄東西線 西11丁目駅3番出口直結 専用駐車場:無し)
札幌市の方から、貸した土地の上に建物を建てて居住していた借地人が死亡し、地代が支払われなくなったが、相続人が全員相続放棄してしまった。借地の返還を受けるにはどうすればよいかとのご相談をいただきました。
【目次】(2024.8.26)
1.相続人のあることが明らかでないとき
2.民事訴訟の提起と特別代理人の選任
3.特別代理人の訴訟行為
4.強制執行の手続き
相続人の存在、不存在が明らかでないとき、相続財産は法人(相続財産法人と呼ばれ、会社と似たようなもの)とされます(民法951条)。
これには、相談事例のように、相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれます。
このような場合、本来であれば、相続財産法人の相続財産清算人の選任を家庭裁判所に請求し、清算人に対し建物の取壊しによる借地の返還を求めることになります。
しかし、死亡した借地人に借地上の家屋以外の財産が残されていない場合など、清算人を立てる意味が乏しく、費用も時間もかかります。
刻一刻と未払いの借地料も増大するため、より迅速な手続きが望まれます。
そこで、被相続人の相続財産法人を被告として、建物の取壊し(収去)と土地明渡しを求める訴訟を提起します。
訴訟の中で、被告の特別代理人(民事訴訟法35条)を選任することを裁判所に求めます。
相続財産清算人の選任や清算人による処理を待っては賃貸人の損害が拡大することが理由です。
特別代理人と相続財産清算人を比較すると、①手続きが迅速に行われやすい、②費用が安価である点にメリットがあります。
②の費用の面では、特別代理人は10万円ほど、相続財産清算人は制度改正が最近行われましたが、それでも30万円程度は要するようです。
特別代理人(通常、関係のない弁護士が選任されます)は、訴状や証拠の送達を受け、原告の主張に対する認否などを行います。
ただ、特別代理人は事情を知りませんので、ほとんどの認否は「知らない」(不知)となります。
不知は、否認と推定(民事訴訟法159条2項)されます。
そのため、原告は、証拠により、訴状の請求原因事実を立証する必要があります。
質問にあるような借地関係の訴訟であれば、契約書が通常存在しますので、死亡や相続放棄の事実を証明することで勝訴判決を取得できるでしょう。
建物収去土地明渡しの確定判決を取得したら、建物の取壊しの強制執行を申し立てます。
ここでも強制執行の進行のために特別代理人の選任が必要です(民事執行法41条)。
それ以外は通常の強制執行と同じように手続きが進みます。
「借地人が死亡して相続人がいないとき」を更新しました。
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