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弁護士・公認会計士 洪 勝吉

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外国人による遺言

札幌に住む韓国籍の方から、遺言について相談がありました。
外国人の場合、どの国の法律が適用されるかなど検討する必要があります。

遺言の方式に関する準拠法

遺言の方式については、「遺言の方式の準拠法に関する法律」2条により、①遺言者の本国(国籍)以外にも、②遺言をした場所の法律(行為地法)、③遺言者の住所や④常居所地の法律、不動産に関する遺言については⑤不動産の所在地の法律のいずれかに適合すれば有効となります。

この定めは、「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」を批准した国であれば、同様の法制度になっていると考えられますし、批准していない国でも同じような制度になっている国が多いと言われています。
日本で遺言するときは②で日本法の方式によることができます。在日外国人であれば③④によって、日本の不動産については⑤によって、日本法の方式によることができます。
 

遺言の成立及び効力に関する準拠法

日本に所在する財産があるなど、日本において遺言の効力や執行が問題になる場合、遺言成立の当時における遺言者の本国(国籍)法によります(法の適用に関する通則法37条)。

また、相続についても、被相続人の本国法によることになります(同法36条)。遺言があっても、相続人の範囲や遺留分などについては相続法の定めによるので、遺言の効力が本国法によって制限される場合があります。
 

韓国国際私法の内容

韓国法がどのように定めているかを見ていきましょう。

韓国国際私法49条1項では、相続は相続当時の被相続人の本国法によるとされていますので、在日韓国人の場合には、韓国法によることになります。
ただ、同条2項では、遺言によって、常居所地法や不動産の所在地法を明示的に準拠法と指定したときは、指定された法によるものとされています。
そのため、在日韓国人の場合、遺言により、常居所地法である日本法の指定が可能です。

以上をまとめると次のとおりです。
遺言→韓国法・日本法のどちらも可能
相続→原則は韓国法、遺言で指定すれば日本法を選択可能
 

相続の手続きにおける考慮

資産の相続手続きは、その資産のある国で行うことになります。日本に所在する資産については、日本で手続きをすることになりますし、韓国など海外に所在する資産については、その国で手続きをする必要があります。

実際に相続手続きを進める場合は、資産の所在する国の法律によって、遺言をしておくことがスムーズさという意味では無難です。
今回の例でいうと、在日韓国人が、韓国に所在する財産についても日本法を適用すると遺言で指定すれば、このような定めは有効です(韓国国際私法49条2項)。
しかし、韓国の銀行などは、日本の相続法に慣れていないでしょうし、不動産の名義を変更する手続きも日本のものとは異なる面があります。
このように、海外に所在する資産については、その国で手続きが行いやすいように、その国の方式や法律により遺言を作成する方が望ましい場合が多いです。

日本の方式と韓国の方式と複数の方式で遺言する場合には、日本法の方式については日本所在の資産に限り、韓国法の方式については韓国所在の資産に限る旨を明記する必要があります。
このようにしないと、遺言相互で矛盾や抵触が生じたと解釈される可能性があるからです。

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