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弁護士・公認会計士 洪 勝吉

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遺産分割における非上場株式の評価

中小企業の経営者に関する相続では、非上場株式の評価が問題になることが多く生じます。
この点は事業承継にも絡んでくる問題です。

遺産分割での遺産の評価

遺産分割での遺産の評価は、遺産分割を行う時点での時価ということになります。
遺産分割時を評価の基準時としますので、相続開始から遺産分割までの価値変動が反映されることになります。
 

非上場株式の評価の一般論

非上場株式は、上場株式のように株式市場での価格がありませんので、一定の方法により評価額を算定することになります。
非上場会社の評価方法としては、一般的には、会社の純資産額に着目して評価する方法(簿価純資産法、時価純資産法)、株主が受け取る配当や会社の将来の収益状況に着目して評価する方法(配当還元法、収益還元法、DCF法)、類似する状況の上場会社との対比で評価する方法(類似会社比準法)などの様々な評価方法があります。

ただ、どのような場合にどの評価手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されているわけではありません
また、個々の評価手法においても、将来の収益、フリーキャッシュフロー等の予測値や、還元率、割引率等の数値、類似会社の範囲など、ある程度の幅のある判断要素が含まれていることが少なくありません。
このような点は、裁判所からも指摘されています(最高裁平成27年2月19日判決)。

非上場株式の相続に関しては、相続税申告において、相続税評価額が算定されますが、相続税評価額については、時価よりは低い金額になることが多いことや、相続税対策として評価額を引き下げる手法があることから、遺産分割における時価算定方法としては適切でないケースも多いです。
 

遺産分割特有の問題

鑑定が行われることは少ない

遺産分割調停において、非上場株式の評価が問題になっても、専門家(公認会計士など)による鑑定が実施されることは少ないとも言われています。
これは、上記のように、明確な判断基準が確立されているわけではないことや、ある程度の幅のある判断要素が含まれているため、多額の費用をかけて鑑定を行ったとしても、関係者の納得が得られるとは限らない(=遺産分割の成立につながらない)ことが理由の一つです。
 

株式の取得者が決まった状況か

生前贈与や遺言によって、非上場株式が誰の帰属か決まっているかどうかは調停の進行に影響を与えます。
生前贈与や遺言により帰属が決まっているのであれば、特別受益としてどのように評価するのかの問題です(なお、特別受益の場合は、相続開始時点で評価するため、評価時点も異なります。)。
非上場株式の取得者の立場としては、既に取得が決定しているため、無理に遺産分割調停を成立させなければいけないわけでもありません。できるだけ非上場株式の評価が低くなれば経済的なメリットが生じますので、上記の相続税評価額による評価を主張することでもよいわけです。

他方で、非上場株式の帰属が決まっていない場合、その会社の経営に関与する立場の相続人としては、株式を早期に取得しなければ会社経営に支障が生じる事態もあり得るため、遺産分割調停を成立させる必要に迫られます。
そのような状況で株式の価値を低く主張すると、他の相続人の納得を得られず、協議が長引いてしまうことも考えられますし、低い評価額であれば自らが相続したいと他の相続人が言い出すかもしれません。
そのため、低い評価額を主張することが難しくなり(このようなときは、土地などの重要な資産について時価に評価替えした修正純資産額が評価の目安になることが多いです。)、株式を取得する代わりに多額の代償金を支払う必要が生じることも考えられます。

このような点から、経営に関与し株式の取得を望む相続人の立場としては、遺産分割で株式の取得者を決定するような事態は避けたいところです。

 

調査が必要になることも

経営に関与していない相続人の場合は、会社の状況が全く分からないことが通常です。
経営者である被相続人の生前に、相続税対策が行われている形跡がある場合には、遺産分割における非上場株式の時価算定に有用な資料が作成されていることもあります。
セカンドオピニオンとして相談を受けた最近のケースでも、この点の調査が十分に行われておらず、相続税評価額に近い金額で話が進んでいるものもありました(この件は億円単位で評価額が異なる結果になりました)。
このように、評価額についていわば空中戦を繰り広げるだけでなく、地道な資料の調査が功を奏する場合もあります。
会社分割や株式交換など会社法上の組織再編行為を利用した相続税対策もありますので、非上場株式の評価が問題になる場合には、会社法や株式評価に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
 

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