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弁護士・公認会計士 洪 勝吉

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遺産の調査方法

遺産分割にも相続税の申告にも、相続人がどのような財産を有していたのかの情報が必要です。
もし、不十分な情報しかない状況であれば、遺産を調査する必要が生じる場合があります。
被相続人が自身の財産をまとめていないと、財産の調査に労力を要することもあります。
今回は、どのように遺産の存在を調査するのか見ていきましょう。

【目次】(2022.09.04)
1.銀行関係
 1.1 預貯金
 1.2 貸金庫の開扉
2.不動産
3.有価証券・生命保険・動産など
 3.1 株式・社債・投資信託
 3.2 生命保険
 3.3 ゴルフ会員権
 3.4 知的財産権
 3.5 動産類
4.債務
5.相続税申告書
6.遺言書

銀行関係

預貯金

預貯金については、取引金融機関に照会することで、残高や取引履歴を入手できます。
取引支店が分からなくても、通常は全店照会が可能ですので問題ありません。
他の相続人の同意などは求められず、複数の相続人がいても単独で開示請求が可能であることが通常です
(最高裁平成21年1月22日判決)。

取引履歴については、過去10年分程度をさかのぼって入手できることが多いです。相続開始後の預貯金の引き出しが問題となることも多いので、相続時までではなく、現時点までの取引明細を取得するようにしましょう。
取引履歴の入手により、他の財産の発見の端緒となることもあります。例えば、生命保険会社への支払いが確認されれば、その生命保険会社に生命保険契約の有無を照会します。
取引履歴を入手した結果、多額の引き出しがなされていることが確認された場合には、払戻伝票などの入手を検討する場合もあります。
このような資料の入手については、金融機関によって必要な手続や資料が異なりますので、金融機関に確認しながら行います。

取引金融機関が分からなければ、取引を行っていそうなところに照会をかけるしかありません。
被相続人宛ての郵便物や、生前の確定申告に関する書類、年金振込口座などの調査、税理士への問い合わせなどを行って、あたりをつけていきます。
すでに解約された預金については、取引履歴の開示請求を認めなかった裁判例(東京高裁平成23年8月3日判決)もありますが、開示されることもあります。
 

貸金庫の開扉

被相続人全員の同意がある場合には、開扉に問題はありません。
金融機関によっては、貸金庫の開扉にすべての相続人の同意が必要というところもあります。貸金庫の開扉が処分行為(民法251条)に当たると理解すると他の相続人の同意が必要と解釈することができるためです。
この場合、一部の相続人が開扉に反対しているときは、公証人に「事実実験公正証書」の作成を依頼することがあります。公証人の事実実験であれば、全相続人の同意がなくてもよいという金融機関があるためです。
このほかには、遺産分割調停・審判の中で、財産の管理者を選任する保全処分(家事事件手続法200条1項)により遺産管理者を選任し、開扉させることも考えられます。
最近の相続法改正により明文化された遺産の一部分割を利用することもありえます。
 

不動産

不動産の登記事項証明書、名寄帳、固定資産税納付通知書、公図などを取得します。
登記事項証明書と公図は法務局で取得できます。登記情報提供サービスの「地番検索サービス」で、住居表示(住所)から地番を調べることができます。地番検索サービスの利用ができない地域についてはブルーマップで地番を確認します。
地番が分かれば登記情報提供サービスの「土地からの建物検索指定」によって家屋番号を検索できます。
登記事項証明書を入手したら、甲区欄で被相続人名義の不動産かどうか確認します。乙区欄では、共同担保欄の記載が相続人名義の不動産が他にもないかの確認材料になりますし、抵当権設定があれば登記されますので、相続債務や取引金融機関の確認にもつながります。

名寄帳は、不動産所在地の市区町村役場の資産税課で入手できます。これは固定資産税の課税のための資料で、被相続人名義の固定資産税が課税される不動産が一覧できます。「土地家屋課税台帳」とか「固定資産税課税台帳」と呼ばれることがありますが、私道などの非課税不動産は記載されませんので注意が必要です。

 

有価証券、生命保険、動産など

株式・社債・投資信託

上場株式等については、証券保管振替機構に対し、上場株式等に係る口座が開設されている証券会社、信託銀行等(口座管理機関)の開示を求めることができます。
この開示情報や、取引残高報告書などから取引のある証券会社に対し照会します。
非上場会社については、株券が発行されていないことも多く、配当金を受領した形跡があるとか、過去に役員になったことがあるなど、保有の可能性がある会社に照会することになります。
 

生命保険

保険証券などが残っていない場合には、関係がありそうな生命保険会社に問い合わせることになります。
以前は弁護士会から一括して照会する手続がありましたが、現在は廃止されましたので、預貯金の取引履歴などから契約がありそうな保険会社に個別に照会するしかありません。
ただし、生命保険契約の照会には相続人全員の同意が必要とされる場合が多いようです。

 

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権については、会員証から確認することになりますが、預貯金の取引履歴から年会費が引き落とされていることで判明することがあります。

 

知的財産権

特許権、実用新案権、意匠権、商標権については、特許情報プラットフォームにより検索することができます。
著作権については、登録されているものは、著作権等登録状況検索システムによる検索が可能です。
 

動産類

動産は価値がないものも多く、形見分けのように遺産分割によらずに分けることも多いです。
ただ、貴金属、骨董品など高価品については後々争いになることもあり、写真に撮影しておくことが有用な場合もあります。
貴重な動産は貸金庫に預けられていることがありますので、その際は先ほどの貸金庫の開扉の問題が生じます。
自動車については、名義変更のために遺産分割が必要になりますし、車検証を確認することでローンの存在が判明することもあります。
 

債務

債務については、これまでの資産調査の際の金融機関への照会や、不動産登記事項証明書の調査などで判明することもあります。
ほかに、信用情報の登録機関に照会することが可能です。一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)があります。
 

相続税申告書

他の相続人がした相続税申告書の内容について開示を拒否された場合、税務署から入手する手段は現状ありません。裁判所を通して照会しても開示を拒否されます。
他の相続人が受けた特別受益については、相続税法49条1項の開示制度で調査できる場合があります。
 

遺言書

公正証書遺言については、遺言検索システムがあり、日本公証人連合会がデータベース化しています。相続人は、相続開始後であれば、どこの公証役場からでも照会が可能です。
自筆証書遺言についても、保管制度が利用されていれば、検索などによって存在を確認することができます。

 

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