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弁護士・公認会計士 洪 勝吉

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遺産に非上場株式があるとき

中小企業の経営者に関する相続では遺産に非上場株式が含まれていることが多いです。会社法や民法上、どのような対応が必要か、事業承継にもからむ問題ですので見ていきます。

取得者が決まっていない時の法律関係

株式は相続や遺産分割の対象になります。
株式が遺産に含まれているものの、遺言や遺産分割協議によって、相続する者が決まっていないときは、法定相続分の割合で、相続人が共有することになります(正確には「準共有」と表現されます)。

例えば、遺産に300株の非上場株式があり、子供3人が相続人であった場合、法定相続分の割合(各3分の1)に応じて、それぞれ100株を取得するというように、100株数量的に分割されるのではありません。
あくまでも非上場株式300株の全てを、それぞれの法定相続分(先ほどの例だと各3分の1)の割合で共有することになります。

相続人の間で遺産分割協議が成立し、株式の取得者が定まったときは、会社に対して名義書換を請求します。
 

議決権の行使方法

非上場株式の取得者が決まらない間は、相続人は、相続人の中から、権利行使者を定めて会社に通知し、権利行使者を通じて、議決権などの株式についての権利を行使します(会社法106条)。

権利行使者を決定するときは、法定相続分の過半数の一致で足ります(民法252条1項、最高裁平成9年1月28日判決)ので、上の例では、2名の意見が一致すれば権利行使者を指定することができます(解任する場合も同様に過半数の一致によります)。

ただし、過半数の一致がある場合でも、考えの一致しない相続人との協議を全く行わないようなときは、権利行使者の指定が権利濫用と評価されることもあります(大阪高裁平成20年11月28日判決)ので、注意が必要です。
 

権利行使者による権利行使の方法

権利行使者は、原則として、自己の判断で議決権を行使することができます(最高裁昭和53年4月14日判決)。

権利行使者が、相続人が決定した管理に関する事項に従わずに権利行使した場合は、共有者に対しては効力を生じない(民法252条の2第4項本文)ものの、善意の会社との関係では有効となります(同項ただし書)。

共有株式の内容に変更を加えるときには、相続人全員の同意を得なければならず(同条1項ただし書)、全員の同意を得ないで権利を行使したときは善意の会社との関係でも無効となります。

権利行使者を定めなかった場合などには、会社は、共有者の一人に対して通知すれば足りる(会社法126条4項)とされ、株主の権利行使が困難になりますので、相続人間の対立が大きいときは注意が必要です(会社が同意しても、民法の適用が排除されるわけではありません(最高裁平成27年2月19日判決))。
 

遺言を残す場合の注意点

株式が共有になると、権限の行使に制約が生じやすくなり、共同相続人の間に対立が想定される場合は、議決権の割合が高いと会社経営に支障が生じることも懸念されます。

非上場株式の承継について遺言を残す場合には、準共有になると解釈されることのないよう、特に複数人に割合に応じて相続させるときは注意してください。
 

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