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弁護士・公認会計士 洪 勝吉

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民事信託の預金管理①

民事信託(家族信託)で金銭や預金を管理する場合があります。
賃貸不動産を信託財産とする場合には、受託者が賃料を管理することになります。
このようなときは、信託口口座を開設すると有用であると言われています。

【目次】(2023.11.03)
1.受託者の義務
2.受託者死亡時の問題
3.信託口口座の開設

受託者の義務(分別管理義務、信託帳簿等の作成義務)

民事信託において、受託者は、自身の財産と信託財産を分別管理する義務があります(信託法34条1項)。
 
金銭や預貯金の分別管理の方法については、その計算を明らかにする方法で構わない(同項2号ロ)ので、信託財産(金銭)のみを預け入れる口座(信託口口座)を開設しなければならないわけではありません。
 
しかし、受託者自身のお金が入金される口座に、信託財産である金銭も入金されると、その区別が困難になります。そこで、信託財産であることを表示上も明確にした信託口口座を開設することが望ましいとされます。
 
また、受託者は、信託財産に係る帳簿その他の書類を作成する義務があります(法37条1項)。
信託口口座を通して、信託に関わる全ての入出金を行い、その通帳の明細に入金の理由や出金使途などを鉛筆書きをするという管理方法は、一般市民にも比較的容易であり、このような方法でも、分別管理義務や信託帳簿等の作成義務を果たしたことになると考えられています。
このように受託者としても、信託口口座を開設し、信託財産である金銭をその口座で管理することは有用です。
 

受託者死亡時の問題

民事信託は、親族の財産の管理や承継を目的とするため、信託の期間が長期間になりがちです。
そのため、受託者が死亡することも想定する必要が出てきます。
受託者が死亡した場合などでも、信託自体は終了せず、新たな受託者が選任されることで継続します(法59条、60条)。 
受託者が死亡しても、信託財産が受託者の相続財産になるわけではありません。
ただ、信託財産である金銭を受託者名義の口座で管理した場合には、受託者の財産か、信託財産か外的に明示されない問題が生じ、受託者の相続人が口座から金銭を引き出してしまったりする危険が高まることになります。
このような観点からも、信託口口座を開設することは有用です。
 

信託口口座の開設

信託口口座を開設する場合、その基礎となる信託契約が法的に有効である必要があり、金融機関は口座開設にあたって信託契約の有効性を判断する必要があります。
そのため、金融機関に信託契約書を示すなどして、金融機関と調整することになります。
信託契約書の有効性を担保する一つの方法として、信託契約書を公正証書で作成することが推奨されています(ただ、公正証書で作成したからといって、有効性についての問題を全て回避できるわけではありません)。
 
信託口口座の名義としては、実務上は様々なものがあります。
日弁連の「信託口口座開設等に関するガイドライン」でも「委託者〇〇受託者△△信託口」、「受託者△△信託口」、「受益者〇〇受託者△△信託口」といった例が挙げられています。
信託財産であることを外部に明らかにするため、少なくとも「信託口」といった表示がなされていることが望ましいでしょう。
 

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