札幌の弁護士・会計士に遺産分割交渉・調停などの相続の相談をするなら

弁護士・公認会計士 洪 勝吉

〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西10丁目4 南大通ビル2F
札幌市営地下鉄東西線 西11丁目駅3番出口直結 専用駐車場:無し)

葬儀費用を遺産から支払う場合の留意点

葬儀費用を遺産から支払うことは、実際上は少なくありません。

相続人間で紛争が生じていない状況では問題にはなりませんが、相続について争いが生じたときは、相続財産からの葬儀費用の支出がどう扱われるのか見ていきましょう。

相続人が亡くなる前に引き出した場合

遺産分割調停では、遺産分割時に存在する財産を対象として調停を行います。

被相続人が亡くなる前に引き出され、葬儀費用としてつかわれた金員については、すでに存在しない財産ですので、これが当然に遺産分割調停の対象となるわけではありません。

ただ、相続に関係する紛争ですので、共同相続人全員の合意があれば、遺産分割調停の中で話し合うことは可能です。共同相続人が等分して負担することや、喪主が負担するといった内容で合意することも少なくはありません。

遺産分割調停の中で話し合うことについて合意できなければ、民事訴訟を提起するなどして解決することになります。

 

相続人が亡くなった後に引き出した場合

先ほども見た通り、遺産分割調停では、遺産分割時に存在する財産を対象として調停を行うのが原則です。
そのため、被相続人が亡くなった後に引き出され、葬儀費用としてつかわれた金員についても、すでに存在しない財産として、当然に遺産分割調停の対象となるわけではありません。

ただ、民法906条の2により、遺産分割前に、遺産に属する財産が処分された場合で、共同相続人全員が同意すれば、すでに処分され遺産から逸出した財産を、遺産分割時に存在するものとみなすことができます。

遺産分割時に存在するものとみなされる結果、逸出した財産についても、遺産分割調停や審判の対象になります。
そして、財産の処分者が相続人の一人であるときは、処分した相続人の同意は不要です(同条2項)。

例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3名の相続人がいて、Aさんが被相続人の死亡後に、被相続人の預金口座から100万円を引き出して、葬儀費用として支出したとします。
この場合、Bさん、Cさんの同意があれば、100万円が遺産として存在するものとして遺産分割の対象となります。
引き出したのはAさんですので、Aさんが100万円を取得することになりますが、実際には100万円は存在しないため、葬儀費用を全てAさんが負担する処理と同じです。
葬儀費用を全て負担する結果に納得できない場合は、Aさんは民事訴訟を提起するなどして解決することになります。

葬儀費用としてつかったのであれば構わないとBさんが考え、遺産分割の対象とすることに同意しなければ、100万円は遺産分割の対象にはなりません。

遺産分割の対象にするためには財産の処分者(Aさん)以外の全員(Bさん、Cさん)の同意が必要であるためです。
 

民事訴訟になった場合

民事訴訟になった場合には、葬儀費用を誰が負担するのか法的に判断がなされることになります。

葬儀費用を誰が負担するかについては、喪主が負担するとするもの、相続人の共同負担とするもの、相続財産の負担(遺産から支出)とするものなどがあり、定説とされるものは現状ありません。
実務的には喪主が負担するという考え方を採用する事例が多いと言われています。
ただ、被相続人の生前に一定額を葬儀費用に充てるよう委任されていた場合には、遺産から支出することが正当化される場合もあります。
 

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
011-596-7944
受付時間
9:30~18:30
定休日
土曜・日曜・祝日

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

011-596-7944

<受付時間>
9:30~18:30
※土曜・日曜・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2024/02/29
2023/11/03
「民事信託の預金管理①」を更新しました。
2023/06/30
「マンション節税の行方」を更新しました。
2023/04/30
2023/02/05

こう法律会計事務所

住所

〒060-0042
北海道札幌市
中央区大通西10丁目4
南大通ビル2F

アクセス

札幌市営地下鉄東西線 西11丁目駅3番出口直結
専用駐車場:無し

受付時間

9:30~18:30

定休日

土曜・日曜・休日